主役は光。
深いシェルフのような窓は2種類の光の演出を同時につくりだしている。

ひとつはその深さによって太陽からの直射日光は向きがそろえられ、スポットライトのように空間全体を移ろい、祭壇を横断することで空間に時間をからめたピークをつくるもの。

もうひとつはこの深い窓の側面に天空光が反射し、非常に、(大きすぎるほどの)大きな気積を満たす柔らかな光。

単純な操作ではあるが、おおらかさと複雑さを兼ね備える豊かなアイデアである。

全体的にそっけなく、ざっくりしたコンクリートブロックが教会に合うのは、その取り扱いが大きな面であることから、相対的に荒いコンクリートブロックの肌理が細かなものとなり、杢グレーのニットのようにやわらかく心地よい斑として感じられる。また、目地の白い線も隠さずに出ているが、これが垂直性を感じさせて大きな壁面にきりっとした印象を与えている。




タピオラの教会 アールノ・ルースヴォリ
Tapiolankirkko, Aarno Ruusuvuori, 1965
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