都市や農村における人間たちの活動の蓄積と、それらの隙間を時に暴力的に埋め尽くすように広がる自然とは、常にお互いに虎視眈々と陣地を取り合う、表裏一体な存在だといえます。
そしてその境界に着目してみると、主客が逆転するような宙吊り(suspended)な風景が広がっています。

造成により、高密度な都市基盤が形成されましたが、同時にできた急斜面は不可侵な緑で覆われました。
庭園は、自然の克服の象徴であるとともに、植物に仕える人間をつくりだしました。
農園は、作物となる特定の種と人間とが共犯のように栄えた結末ともいえるでしょう。
強大な権力によりできた墓は禁忌の地となり、植物と鳥の楽園となりました。
飽くなき都市の欲望はこれらすべてを過剰にドライブしています。 
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